シリコンバッグ抜去のモニターさまです。
20年前に腋窩より大胸筋下にスムースタイプのシリコンバッグを挿入。17年前に腋窩よりコヒーシブタイプのシリコンバッグに入れ替えたそうです。
今まで大きなトラブルもなく経過していたとのことですが、最近違和感を感じるようになったため、ご相談にこられました。
触診上問題はなさそうでしたが、抜去をご希望されたためシリコンバッグを抜去しました。
抜去するには切開する必要があります。腋窩より切開するか、乳房下縁より切開するかお選びいただけます。
今回のモニターさまは2度腋窩を切開しているので、腋窩周辺の組織の癒着は強いことが予想されます。腋窩より抜去する場合は挿入時と同様痛みと腕の可動制限が必要となります。
ご相談の結果、乳房下縁より切開してシリコンバッグを抜去することになりました。
乳房下縁法のメリットは術後の痛みが少なく、腕の曲げ伸ばしに支障をきたさない点にあります。デメリットとしては乳房下縁に傷ができます。乳房に下垂がある方の場合には起きている状態では傷跡は見えません。
術前の状態
術前の状態です。乳房の下垂はありますが、明らかな左右差もなくバッグの位置もわるくはありません。
術前
術前、ベッドに横になった状態です。シリコンバッグが入っているため、横になってもバストは膨らんだままです。
デザイン
切開する位置を決めます。2本ラインがありますが、下のラインは立位の時の乳房下縁です。上のラインが切開予定ラインです。シリコンバッグは立位になると重力で下に下がってきます。寝ると上に上がります。どれくらい上の位置に上がるかはバッグの重さ、カプセルの位置によってひとそれぞれ異なります。通常バッグを抜去した後は乳房下縁の位置は上にあがります。そのため、切開線は術前の乳房下縁の位置よりも上側になります。
手術直後
手術直後、シリコンバッグを抜去し、縫合し終えた状態です。
抜去したシリコンバッグ
抜去したシリコンバッグです。テクスチャードタイプのシリコンバッグで左右ともに破損はありませんでした。変色も少なくとてもきれいな状態でした。
手術直後
抜去直後の状態です。バッグがなくなった分術前よりもバストのボリュームが減りました。長年バッグが入っていると中の組織、筋肉や脂肪組織などが吸収されるため、バッグがあった部分は通常の状態よりもさらに窪みます。
術後の不自然な陥没は時間の経過とともに個人差はありますが、今の状態よりは軽減します。
術後2日目
術後2日目の状態です。痛みも気にならない程度とのことでした。内出血もほとんどありませんでした。
術後1週間目
術後1週間目の状態です。シリコンバッグを覆っていた被膜自体は切除しないため、バッグが入っていたスペースに浸出液が溜まってしまうことがあります。そのため、術後1週間はバストバンドで圧迫固定を行います。
術後1ヶ月目
術後1ヶ月目の状態です。1ヶ月経つと痛みはほとんどなくなりますが、切開部分の傷の硬さが残ります。
術後3ヶ月目
術後3ヶ月目の状態です。術前のボリュームはなくなってしまいましたが、自然なバストの形といえます。
シリコンバッグを抜去した後バストサイズは小さくなってしまいますが、破損の可能性や感染のリスクがなくなり、乳がん検診のマンモグラフィーが受けれるようになることの安心感がうまれます。
術後3ヶ月目の傷
術後3ヶ月目の傷の状態です。赤みも落ち着いてきて目立たなくなってきました。
今回行なった手術名
シリコンバッグ抜去(乳房下縁法)
通常価格 220,000円(税込)
モニター価格 110,000円(税込)
シリコンバッグ抜去のリスクと合併症
腫れ、内出血、痛み、浸出液の貯留、傷跡、感染など