アートメイク施術後、施術でできた傷が治るまでの期間を指す「ダウンタイム」があります。ダウンタイムは施術部位によって、症状や経過がやや異なります。
とくに、はじめてアートメイクを受ける方にとっては、ダウンタイムがどのようなものか気になりますよね。
この記事では、アートメイクのダウンタイムの経過・過ごし方を解説します。さらに、アートメイクを長持ちさせるために、ダウンタイム中の避けたい行動についてもご紹介します。
ダウンタイムとは?
アートメイクは、細い針を使って皮膚に色素を注入して色をつける施術のこと。施術後、皮膚は傷ついた状態です。
ダウンタイムは施術でできた傷が落ち着き、日常生活に戻るまでの期間を指します。個人差や施術部位によって異なりますが、期間はおよそ1週間程度。長くても2週間ほどで落ち着きます。
ダウンタイム中に見られる主な症状は、痒み・痛み・腫れ・赤み・内出血などです。ただし、痛みなどの症状が引いたとしても、メイクを控える状況であればダウンタイムに当てはまります。
アートメイク施術後のダウンタイムの経過
アートメイクのダウンタイムは、施術部位によって経過が異なります。どのような流れになるのか、眉・リップ・アイラインの順に解説します。
眉アートメイクの場合
眉に関して、ダウンタイムはほとんどありません。痛みや腫れ、赤みが起きる可能性はゼロに等しいでしょう。
ただ、色やかさぶたのような状態をダウンタイムに含めるのであれば、施術後2〜3日はいったん色が濃くなります。4〜5日でかさぶた(粉をふいた状態)のようなものができます。
施術後1週間ほどで、色・かさぶたは落ち着き、眉メイクも7日目から可能です。
リップアートメイクの場合
眉同様、リップも施術後2〜3日ほどで色が濃くなります。ただリップは、乾燥がひどくなることもあり、1〜2週間ほどで皮むけを起こします。
とはいえ、しばらくすると落ち着きますので、乾燥や皮むけが続くことはありません。
リップメイクは、施術から2週間ほど経過してからをおすすめします。
アイラインアートメイクの場合
色が濃く出ることはほとんどありません。ただ、アイラインはほかの部位よりも皮膚が薄いため、腫れや内出血が出現する可能性があります。医療アートメイクでかさぶたはできにくいですが、施術後3〜5日目でできる場合も見られます。
およそ1週間程度で、腫れやかさぶたは落ち着き、アイメイクも可能です。まつエク(まつ毛エクステ)については、2週間ほど経過してから再開することをおすすめします。
アートメイクのダウンタイム中に避けたいこと
ダウンタイムは、アートメイクの色素を定着させるための期間でもあります。そのため、色素の定着が悪くなるオイル系クレンジングは、どの部位も施術後1週間程度は控えましょう。
そのほかにも、ダウンタイム中に避けたいことがあります。施術部位や避けたい行動を詳しく見ていきましょう。
眉アートメイクの場合
施術後1週間程度は、アイブロウを控えましょう。アートメイク後の皮膚は、ダメージを受けた状態です。
弱っている肌に、さまざまな成分が含まれるメイク用品を使用すると、施術部位が炎症を起こす場合がありますので、使用を控えると安心です。また、摩擦が色素の定着不良や滲みの原因となります。
リップアートメイクの場合
施術後3日間ほどは生もの・刺激物を控えましょう。
刺身などを含む生ものには菌が存在していますので、感染症のリスクがあります。そもそも唇には、肌のようにバリア機能がありません。そのため感染しやすい状態にあり、アートメイク施術後は感染リスクをさらに高めてしまうのです。化膿なども軽減できますので、数日間は生ものは控えておくと安心です。
一方、熱い・辛い食べ物や飲み物を避けることで、施術後の痛みを軽減できます。コーヒーも刺激物になりますので、3日程度は控えるのがおすすめです。
アイラインアートメイクの場合
コンタクトレンズは3~5日程度、アイメイクは1週間ほどの使用を控えましょう。
施術部位に刺激を与えると化膿などの原因になりますので、日ごろからコンタクトレンズを使用する方は、装着を避けることをおすすめします。
お風呂で気をつけてほしいこと
長湯は代謝が良くなり、色素の定着が悪くなる場合があるため、施術後1週間程度は控えましょう。
アートメイク施術直後の皮膚は、炎症を起こしている状態です。毛細血管が傷ついた状態で、長湯などの血流が良くなることをすると、内出血や腫れが遅れて出現することがあります。。
代謝が良くなり血流もあがることは、退色にもつながりますので、施術直後の長湯は避けましょう。
習慣的に運動する方が気をつけてほしいこと
1週間程度、ジムやジョギングなどの運動を控えましょう。入浴と同様、代謝がよくなりますので、色素の定着が悪くなる場合があります。
また、軽いストレッチも避けた方が無難です。
日焼けで気をつけてほしいこと
日焼けによってアートメイクの色素が変色する可能性があるため、施術後1ヵ月程度は日焼けに気をつけましょう。
海や山などの屋外レジャーは控え、できる限り紫外線を避けることが大切です。外出する際、日焼け止めクリームを塗って紫外線対策をしましょう。
アートメイクのダウンタイム中に痛みが強く出たときの対処法は?
過剰な施術をした場合を除き、アートメイクのダウンタイム中に痛みが強く出ることはほとんどありません。
もし、ダウンタイム中に気になることがありましたら、施術したクリニックに相談しましょう。自己判断で対応するのはNGです。表面では落ち着いたように見えても、中では悪化している場合もあります。
とくにリップについては、ほかの部位よりもターンオーバーが早く、そのサイクルは5日程度です。肌状態が「良くなる」「悪くなる」どちらにも早く働きかけますので、注意しましょう。
アートメイクを長持ちするためのダウンタイム中の過ごし方
誤ったダウンタイムの過ごし方は、アートメイクの色持ちが悪くなる場合があります。患部をいたわることで、アートメイクの定着をアップさせることができます。
ここでは、アートメイクを長持ちさせるダウンタイム中の過ごし方を解説します。
※アートメイクを長持ちさせる詳しい方法については、こちらを参考にしてください。
アートメイク1回目は何ですぐ消える?看護師が教える「長持ちさせる方法」とは
患部を清潔に保つ
ダウンタイム中の肌は傷がある状態ですので、菌が入り込んでしまうと炎症の原因に。そのため、施術部位を清潔に保つことが大切です。
とはいえ、術後すぐに患部を濡らすのは控えましょう。濡れると色素が落ちて定着が悪くなるため、一定期間は患部を濡らさないことが大切です。ただ、患部を濡らさない期間については、クリニックごとで異なります。
当院では、施術後24時間は患部を濡らさずに過ごしていただくことをお願いしています。
濡らさずにそのままの状態で過ごし続けることは、油分が溜まって皮脂と一緒に色素を落とし定着不良を起こします。
1日は濡らさずに過ごしていただき、翌日以降から水洗いや処方された薬で患部を清潔に保ちましょう。
保湿ケアをする
ダウンタイム中の皮膚は乾燥しやすい状態です。乾燥を放っておくと、痒みや赤みなどの原因に。施術したクリニックから、乾燥を抑えたり皮膚の再生を促したりする軟膏が処方されるので、塗布して保湿ケアをしましょう。
このとき、市販の軟膏は使用しないことをおすすめします。市販の軟膏に含まれる成分はクリニックと異なります。施術後の皮膚はデリケートで、含まれる成分によって炎症が出る場合もあるため、クリニックで処方される軟膏でケアしましょう。
患部を触らない
ダウンタイム中にできるかさぶたは触りたくなるものです。しかし、かさぶたは皮膚を保護する働きがあります。
さらに、定着する前のアートメイクの色素を落としにくくする役割もあります。無理に剥がすと、外部ダメージを受けやすくなったり色素が落ちやすくなったりします。
そのため、かさぶたは触らず、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
1回目のアートメイクは時間が経つと薄くなる?
そもそも医療アートメイクは1回目の施術で、ある程度消えるようにできています。1週間ほどのダウンタイム期間を経て、残る色素は6割程度。なかには、3割ほどしか残らない方も見られます。
1回目のアートメイクで色素が定着しにくい理由は主に2つあります。
ターンオーバーの関係
古い皮膚が剥がれ落ち、新しい肌に生まれ変わる周期(サイクル)のことを「ターンオーバー」と呼びます。健康な皮膚の場合、サイクルは約4週間です。
アートメイクは「基底層」と呼ばれる、表皮の一番深い場所に色素を注入します。ターンオーバーによって注入された色素は押し上げられ、4週間ほどで剥がれ落ちてしまうのです。
施術上の関係
基本的にアートメイクは、1~3年程度の時間をかけて消えていきます。
アートメイクは「細い→太い」にすることは可能ですが、「太い→細い」にはできません。過剰な色素の注入をした場合、修正ができなくなりますので、1回目の施術では控えめに色素を注入しています。2回目で理想のデザインをつくり上げます。
2回目のアートメイクはどのように経過する?
2回目のアートメイクは、1回目の施術から30〜40日後に実施されます。ただし、肌の回復状態によっては2回目の実施が遅くなる場合もありますので、クリニックで皮膚状態を確認してもらいましょう。
1回目と同じで、2回目の施術にもダウンタイムはあります。経過などについては、1回目とほとんど変わりません。
正しいダウンタイムのアフターケアで、アートメイクの色持ちを良くしましょう
ダウンタイム中のケアを丁寧にすることで、アートメイクの色素の定着は変わります。雑なケアだと色素の定着が悪くなり、アートメイクの色持ちもイマイチになる場合があります。
患部を保湿ケアして清潔に保ち、触らずに安静に過ごすことがアートメイクを長持ちさせるコツです。
もし、ダウンタイム中の痛みや腫れなどが気になる際は、施術を受けたクリニックに必ず相談しましょう。自己判断は、皮膚状態を悪化させる可能性があります。クリニックで適切な対処法を確認することをおすすめします。
【この記事の監修者情報】 ロダムアートメイクアカデミー日本校代表講師 平松 あい ・看護師歴24年 略歴 ・2018年~現在まで延べ約10,000人の患者さまの施術に関わる 資格 コメント |