アートメイクは一度施術を受けると、しばらくの期間大幅な修正ができません。そのため、自分が思い描いたデザインを、しっかり施術者に伝える必要があります。理想のデザインも、実際に自分の顔に当てはめてみると、骨格や筋肉、お顔のパーツ配置に合わず後悔…などといったことがないよう、デザインは施術者と相談を重ねて、慎重に決めることがとても大切です。
ここではアートメイクについて、人気のデザインや技法を「眉・リップ・アイライン」とそれぞれに紹介します。
自分に合うデザインの探し方についても解説していきますので、じっくり考えて理想のデザインを見つけてください。
デザインの種類
眉・リップ・アイラインにはさまざまなデザインがあります。
クリニックや施術者によって異なりますが、美容室のようにデザインの見本をたくさん用意しているところは少ないかもしれません。これは、患者様ご自身の輪郭、骨格、パーツ配置、筋肉の可動などを考慮し複合的に、お似合いのデザインを見つけていくためです。
しかしながら、平行やアーチなど形の考え方は人それぞれ違います。患者様と施術者の考える形が合っていないと、なりたいデザインに近づくことが難しくなるのも事実です。そのためカウンセリングの際に、自分のなりたいイメージと近い画像を用意しておくと、施術者に伝わりやすくなります。
カウンセリングで伺った希望の形をもとに、施術の際、患者さまご本人のお顔のパーツ配置を測り、ご希望されたデザインを実際に描いていきます。ご本人のご希望と調整を重ね、その方に似合ったデザインを決定することが大切なのです。
眉アートメイク・技法の種類とデザインの実例
シャドーブロー
眉全体に均一に色素を注入する技法です。
ペンシルを使って眉を書いたような仕上がりです。
立体感はなく、すっぴんでも眉メイクをしているように見えます。
グラデーションブロー
眉尻から眉頭にかけてグラデーションをつけて色素を注入します。
濃淡をつけていくため、シャドーブローの仕上がりよりも、立体感が生まれます。
EMBO技法による3D眉
EMBO(エンボ)技法とは、手彫りで線を1本1本描いていくテクニックです。
毛並みを再現できるので、自毛が生えているかのように見える自然な仕上がりになります。
4Dシャドー
シャドーブローと3Dを組み合わせた技法。EMBO技法により1本1本の毛の流れを表現し、その上から眉全体を均一に着色します。
4Dグラデーション
グラデーションブローと3Dを組み合わせた技法。眉尻から眉頭にかけてグラデーションをつけて色素を注入します。そこからEMBO技法により1本1本毛の流れを表現。毛の流れを増やしながら、グラデーションをつけるため、より立体感のある眉になります。
3Dアートメイク
毛並みのみで表現する技法。毛並みを描く方法は条件や患者様のご希望に応じて変えます。色素・Needle・テンションのかけ方などで仕上がりが大きく変わってきます。
4Dアートメイク
毛並みを表現し、フォルムに合わせてPowderをのせたような色味をつけていく技法。すっぴんでも上手にお化粧をしたような仕上がりになります。毛並みが少ない、色味が明るい、そんなケースでもpowderを入れることで立体感が出ます。自毛にボリュームのない方や昔のアートメイクを修正したい方に向いている技法です。
デザインの種類 人気の眉の形は?
眉アートメイクのデザインは主に4種類あります。
・平行:可愛らしい印象
・アーチ:華やかな印象
・シャープ:さっぱりとした印象
・上がり眉:クールな印象
このところ、長らく太めの平行眉が流行っていましたが、最近ではゆるめの平行眉・ゆるめのアーチ眉が人気を集めています。
そのため、流行だった太めの平行眉にしていた方が、やや細めの平行やアーチのデザインに変更したいという方が増えてきている印象があります。太めに作った眉は、色素が抜けた後でないと細めの眉に変更するのは難しいものです。
クリニックによって対応は異なりますが、当院ではレーザーでアートメイクを消すという方法はおすすめしていません。レーザーによって、肌に大きな負担を与えて肌の状態が悪くなる可能性があり、自毛がなくなる可能性があるためです。そのためアートメイクのデザインは、ベストだと思う状態よりも少し細く、薄く仕上げるのがよいでしょう。
男性の眉デザイン・人気の形は?
男性のアートメイクは、眉のお化粧をしている感じに見えないように工夫をする必要があります。
そのため、技法では3Dアートメイクを選ばれる方が多くなります。
男性に人気の眉デザインは「ゆるめの並行」。近年は男性らしい強い眉よりも、優しい雰囲気を感じられる眉を希望される方が増えてきています。
仕事などで、相手に与えたい印象から眉の形を決める方も見られます。
例えば、立場が上の方だと強い印象を与えられる眉の形にしたり、営業職の方で優しい雰囲気を出したいときはふんわりとした眉にしたりするなど、その方の背景も考慮しながら形・デザインを決めていきます。
眉のデザインを、自眉の形からを大きく変える場合、自毛の処理が必要になることが多いため、施術が終わってからもご自分でケアをしていく必要があります。
リップアートメイク・技法の種類とデザインの実例
リップの技法は主にフルリップとLip Brush(ティントリップ)があります。名称については、クリニックごとに異なります。それぞれの技法にどんな違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
Lip Brush(ティントリップ)
Lip Blushとは唇に小さい点で面を埋めて色をつける技法です。アウトラインにはしっかり入れずに、ソフトラインで入れるか、もしくはラインを決めないで中だけを埋めていきます。小さい点が集まることでパウダー感のある仕上がりになります。さらに、腫れや刺激が少ないこともLip Blushの特徴です。
リップアートメイクのなかでも人気を集めており、アジア人が最もナチュラルで綺麗に色が定着すると言われています。韓国ではLip Blushの事をティントリップとよびます。まさに、唇中心部を濃く重ねて入れると、ティントリップを塗ったような表現になります。
フルリップ
フルリップとは唇全体に色素を入れて、唇のラインをしっかり出す技法です。唇の血色が良くなるので、若々しい印象を与えられます。
ただLip Blushのようなパウダー感はなく、しっかり中を埋めていくため、施術時に腫れや刺激を感じやすい特徴があります。昔から人気がある技法で、くすみが多い方やラインをしっかり作りたい方などに適しています。
デザインの種類・人気のあるリップの色は?
リップアートメイクはアウトラインを取らずにぼかして、中にグラデーションを作り、くすみを取る方法を希望される方が増えてきています。
なかにはオーバーリップにしたい、濃い色にしたい方もいるかもしれません。しかしオーバーリップにした場合、ツートーンに仕上がったり退色したときに色ムラがでたりすることがあります。そのため、くすみを取る程度のナチュラルな仕上がりの方が、年数が経ったときも綺麗な状態をキープできます。
アイラインアートメイク・デザインの種類とデザインの実例
アウトライン
まぶたを閉じた状態のときに見える位置のラインです。
・アウトラインを目の形に沿って長めに描く
・目尻にかけて太めに描く
・テール(目尻を跳ね上げるライン)
大胆に入れたアウトラインはメイクなどでも修正が難しいため、デザインは慎重に決定しましょう。また、アイラインはアートメイクがにじみやすい部位でもあるため、強い跳ね上げのラインはあまりおすすめできません。
ナチュラルライン
まつ毛の生え際に沿ったラインです。睫毛の間を埋めていくように描いていきます。アイラインをあまり誇張したくない、自然に目元を強調したい、といった場合に最適です。TPOに合わせてご自身でメイクを足すこともでき、毎日のメイクの時短にもなります。
インライン
まつ毛の生え際よりさらに内側、粘膜に近いギリギリの部分のラインです。目元を自然に強調できますが、粘膜へのアートメイクは感染を引き起こすおそれがあります。また、マイボーム腺を塞いでしまうため、ドライアイになるリスクも。
アイラインアートメイクで人気のデザインは?
アイラインのアートメイクは、ご希望と目の形、皮膚の状態などを元に最終的なデザインを決定します。
初回は控え目に入れ、2回目のリタッチの際に様子をみながら濃くしていくことをおすすめしています。
アイラインアートメイクで人気のデザインや形はナチュラルラインです。
まつ毛とまつ毛の間を埋めて、すっぴんでもぱっちりな目元の印象を与えるデザインが人気を集めています。
目尻をしっかり跳ね上げたデザインにしたい方もいるかもしれませんが、時間が経ったときに綺麗な状態を保つことが難しい傾向にあります。アイラインは皮膚が薄く滲みやすいので、過剰に色素を入れると、1年や2年経ったときに劣化がひどくなるのです。
アイラインのデザインを選ぶときは、経年劣化のことも考えて控えめでナチュラルなデザインを選ぶことをおすすめします。
アートメイクのデザインって2回目で変更できるの?
アートメイクのデザインは微調整であれば変更可能です。しかし太くしたものを細くしたり、平行をアーチにしたりするなどの大幅な変更はできません。
そのため、カウンセリングの段階で自分の作りたい形をしっかり決めて、最初のアートメイクの施術は控えめに作ることが大切です。
アートメイクデザインの選び方-自分に合ったデザインを見つける方法
1.まずは自分のなりたい形をじっくり考えて決めましょう
この時点で曖昧だった場合、満足できる仕上がりにならない可能性があります。大幅な修正は難しいので、「この形を作りたい」というイメージをしっかり用意してください。
2.施術者との徹底的なカウンセリングで自分に似合ったデザインを見つけましょう
骨格や筋肉などは一人ひとり異なるので、似合うデザインや位置も違います。施術者がお顔の比率を測ってから、作りたいデザインを直接描いていきます。そうすることで、完成イメージを把握しやすくなります。描いてもらった顔を見たときに、しっくりきたデザインが自分に似合ったデザインになります。
3.クリニック選びは重要です
自分に合ったデザインを見つけるためには細かなカウンセリングが重要です。希望を受け入れながら最適なデザインをアドバイスをしてくれる、臨床経験豊富なクリニックを選びましょう。カウンセリングの段階で「違和感」を感じたらすぐに施術を受けず、よく考える時間を取るのがおすすめです。一度入れたら簡単には消えないのがアートメイクです。場合によってはクリニックの変更も視野に入れ、慎重に検討してください。
アートメイクの施術の流れ
最初から過剰な形やデザインをした場合、後から修正ができなくなるため、ナチュラルな仕上がりをイメージしたデザインにすることが大切です。基本的にアートメイクは2回の施術が必要なので、2回目で調整してなりたい形に完成させていきます。
実際にアートメイクが行われる主な施術の流れは次の通りです。
1.カウンセリング
2.デザイン
3.1次麻酔
4.施術
5.2次麻酔
6.アフターケア
それぞれの流れを詳しく見ていきましょう。
カウンセリング
施術の方法や手順などの説明が行われます。また作りたい形やデザインやメイクに関する悩みから、自分の顔の形や左右のバランスなどを測って最も似合うデザインを一緒に考えます。
1次麻酔
クリームやジェルなどの塗る麻酔で表皮の感覚を鈍くします。
デザイン
顔のパーツや筋肉の動きなどを考慮しつつ、希望する形になるようなデザインを作ります。
2次麻酔
特殊な麻酔を使用し、再び施術部位に麻酔を実施。表皮から基底層に入れることで施術中の痛みを軽減して負担を減らします。
施術
色素を施術部位に注入して、毛並みやフォルムを作ります。自然な仕上がり、肌の負担を軽減するために基本的に2回の施術が行われます。2回目の施術の実施は、1回目から最長3か月以内に実施します。ただし、肌の状態などによって施術間隔は異なるため、クリニックで確認してください。
注意点とアフターケアについて
注意すべきこと
金属アレルギーの方はパッチテストをしてから、アートメイクの施術を受けてください。アートメイクに使われる顔料には極微量ですが酸化鉄が含まれています。金属アレルギーの方は反応することがあるので、パッチテストを受けてクリアしてから施術に進みましょう。
また皮膚のコンディションが悪い場合は、施術日を変更することもおすすめします。とくに花粉の時期は目元や肌が荒れていることがあるので、滲んだり、色素の定着不良を起こすことがあります。
アフターケア
施術後、直後〜2日は赤みが現れたり、翌日から2~3日色味が濃くなります。施術から1週間程度でなじんでいくためご安心ください。また、施術内容によってかさぶたができることもありますが、こちらも1週間ほどで自然に剥がれ落ちていくため、触らずそのまま過ごしましょう。
クリニックから感染予防や炎症を抑えたり、皮膚の再生を促進したりするお薬が処方されるので、1日2回塗布して保湿ケアを行います。
自然で美しい仕上がりにするために、カウンセリングをしっかり行うクリニックを選びましょう
自然で美しいデザインに仕上げるためには、施術前のデザイン決定や適切な色・形を選ぶことにしっかりと時間をかけることがとても大切です。
自分に合ったアートメイクのデザインは、施術者と二人三脚で見つけていくのが理想的。希望はしっかりと伝えた上で、お顔パーツの比率を測ってもらうなど、プロの意見も取り入れながら似合うデザインを探しましょう。
そのためには、時間をかけてカウンセリングが行われ、本人の意思を尊重してくれるクリニックを選ぶことが大切です。
【この記事の監修者情報】 ロダムアートメイクアカデミー日本校代表講師 平松 あい ・看護師歴24年 略歴 ・2018年~現在まで延べ約10,000人の患者さまの施術に関わる 資格 コメント |