一人ひとりに似合うデザインをプロが提案し、自然な仕上がりを叶えるアートメイク。眉毛を整えることで見た目の印象がアップするため、近年アートメイクを受ける男性も増えています。
※男性のアートメイクについて詳しくは以下の記事をご覧ください
眉毛アートメイクをするメンズが増加中|男性に人気の眉デザインや料金、リスクについて解説【看護師監修】
しかし自分に似合ったアートメイクを楽しむ一方、アートメイクをしたあとに「MRI検査を受けられなくなるのでは?」「MRI検査は、大丈夫かな…」と心配される方も増えてきているようです。
ここでは、アートメイク後のMRI検査についてご説明します。安心してMRI検査を受けるためのポイントも解説しますので、アートメイクを考えている方・アートメイク後にMRI検査を受ける予定のある方は、アートメイクをした後に知った方も参考にしてください。
アートメイク後もMRI検査は受けられる?
MRIの注意事項には、以下のようなことが記載されています。
- アートメイクをしている方は、医師に申告してください
- アートメイクをしている方は、MRI検査を受けられない場合があります
「アートメイクをしていたら、MRI検査が受けられない!」と思ってしまうかもしれませんが、それは少し前のお話です。医療行為に移行する前のアートメイクの場合、使用する色素(顔料または染料、顔料・染料の混合)と色素を定着させる位置が異なっていました。以前のアートメイクは、簡単に言うと昔の入れ墨と同様の成分の色素で同じ位置に色素を定着させていました。発色や定着の為に金属成分が多く含まれてる色素を皮膚の深くに残していたので、MRIの場合、金属成分が電磁場に反応して、やけどや検査画像の乱れ(アーチファクト)が起きる可能性が高かったのでMRI検査が受けられないとされていました。
現在、日本の医療アートメイクで選択されている色素の安全水準は日々進歩していて、医療機関で使用する色素は私の知る限り顔料に移行されていると思います。また、推奨金属は酸化鉄、色素研究者のおかげで金属含有量も極微量となり、現在の医療アートメイク後は、MRI検査を受けられる場合がほとんどです。ただし最終判断は、主治医の先生になるので事前にMRI検査の予定が分かっている場合は、医療アートメイクの可否確認をおすすめします。
CT検査は放射線を使った検査になるので通常の被ばく量であれば、直接影響を与えることはないとされています。
MRI検査の注意事項にアートメイクが記されている理由
注意事項に、アートメイクについて記載されている理由は、MRI検査で使用する電磁波にあります。アートメイクの色素に含まれる、ごく微量の金属。これに電磁波が反応してしまう可能性が少なからずあるからです。その結果、やけどや画像の乱れなどを引き起こす可能性があります。
しかし、現在の医療アートメイクの色素に含まれる極微量の金属がMRI検査に影響を与えることは、ほとんどありません。
私は、MRI検査を控えている患者さまへの対応として、患者さまの受診されている医療機関との色素情報共有を行っています。情報提供を行い、使用色素のSDS(安全データシート)成分表を提出しています。これまで、12,000件以上の患者さまへ医療アートメイクを提供させて頂いていますが、2023年12月時点で、MRI検査をお断りされた事例、やけどやアーチファクトの報告は1例もありません。
アートメイク後にMRI検査を受けるリスク
昨今の医療アートメイクによるMRI検査への影響は少ないですが、場合によってはリスクが発生する可能性もあります。ここでは、アートメイクをしたあとにMRI検査を受けるリスクについて解説します。
色素によっては診断結果に影響を与えることがある
極端に安い色素・認可が下りていない色素の場合、金属を多く含んでいる可能性があります。金属を多く含んでいる場合、MRI検査に影響を与える可能性があるため、アートメイクの施術前に使用される色素を確認しておくことを強く勧めています。
当院では、ドイツのダーマテストなど認証を受けた色素のみを採用しています。成分表を取り寄せ私自身が確認し、安全性の高い色素のみ採用します。12,000件以上の患者さまへ医療アートメイクを提供させて頂いておりますが、2023年12月時点でMRI検査後、やけどやアーチファクトの報告は1例もありません。
※当院のアートメイクについて詳しくは、以下のページをご覧ください
浦和第一美容クリニック|医療アートメイク
アイラインアートメイクは火傷する可能性がある
アートメイクは眉・リップ・アイラインなどの部位に対応できますが、なかでも火傷のリスクの高いのがアイラインアートメイクです。
色素が円の形に入っている目のまわりにMRI検査で強い磁場が発生すると、誘導電流が発生します。誘導電流によって熱が生じ、火傷となってしまうのです。しかし、検査のあいだ目を閉じていれば円形にはならないため、火傷のリスクを低く抑えられます。
※アイラインアートメイクについては以下の記事をご覧ください
アイラインアートメイクのデザインのポイントは?
安心してMRI検査を受けるために
基本的には、アートメイクをしていてもMRI検査を受けられることがほとんどです。しかし、絶対にトラブルが起きないというわけではありません。安心してMRI検査を受けるためには、以下のことに注意しましょう。
・MRI検査前に医師へ申告・相談
・アートメイク施術直後のMRI検査は避ける
・アートメイクを受けるクリニックに使用色素を事前に確認する
検査前に医師へ申告・相談する
アートメイクを行っている場合、火傷のリスクがあるアイラインはもちろん眉毛・リップなどのアートメイクについても、検査前に医師に必ず伝えましょう。
アートメイクで使用する色素に含まれる金属はごく微量なので、MRI検査に影響はほとんどありませんが、必ずしもトラブルが起きないとは言い切れません。アートメイクの施術を医師が把握していれば、トラブルが起きた場合でも迅速に対応できます。そのため、万が一のトラブルに備えてMRI検査前に医師へ申告することが大切です。
また、MRI検査中に違和感が生じた場合は、MRIに設置されているブザーで異常を伝え、検査を中断してもらうようにしましょう。
アートメイク直後のMRI検査は避ける
アートメイク施術後の1〜2週間はダウンタイム中であり、お肌がとてもデリケートな期間です。色素も定着しきっておらず、その状態でMRI検査を受けると仕上がりにも影響が出る可能性があります。
ダウンタイム期間中のMRI検査は避け、アートメイク施術後2週間以上空けてからMRI検査を受けるとよいでしょう。
もしMRI検査を受ける予定があるならば、アートメイクを行う前にMRI検査を済ませておくと安心です。アートメイクを受ける時期については、施術者と相談してスケジュールを決めましょう。
※ダウンタイムについて詳しくは以下の記事をご覧ください
看護師に聞く!アートメイクのダウンタイムの経過・過ごし方|ダウンタイム中に避けたいこととは?
アートメイクを受けたクリニックに確認する
アートメイクで使用する色素はクリニックごとに異なります。MRI検査を受ける病院で申告するのはもちろん、アートメイクを受けたクリニックでもMRI検査が可能な色素か確認しましょう。
多くのクリニックでは安全性の高い色素を使用していますが、念のためどの色素を使っているか確認しておくと安心です。安全性の高い色素を採用しているクリニックの場合、安全データシートを開示してくれます。
アートメイクは、信頼できるクリニックで施術を受けることが大切とはいえ、信頼できるクリニックを見つけるのは難しいかと思います。失敗しないクリニック選びについて解説している、以下の記事を参考にしてみてください。
医療アートメイクとは?看護師が教える医療アートメイクのメリット・信頼できるクリニックの選び方を紹介
信頼できるクリニックでアートメイクをして、安全にMRI検査を受けましょう
昨今、使用されるアートメイクの色素は安全性が高く、MRI検査を受けてもトラブルは起きにくくなっています。しかしトラブルやリスクがゼロではないため、MRI検査を受ける前には、必ず医師へ申告しましょう。
アートメイクを受けるときの信頼できるクリニック選びも大切です。なかには十分な対応をしてもらえないクリニックも存在します。臨床経験や施術写真、色素情報などを確認したうえで、自分に適したクリニックを見つけてください。
MRI検査を受ける上で、注意する点は色素です。認証基準に達した色素の選択が大切です。安全性の高い色素を採用しているクリニック、施術者でより安全にアートメイクを楽しんでください。
【この記事の監修者情報】 OWLBROW代表 ・看護師歴 24年 略歴 2018年~現在まで延べ約10,000人の患者さまの施術に関わる 資格 コメント |